『胡散臭いって?それはお前のカンか?』
『…………』
『女にちょっかい出されたのが気にくわないだけだろ?』
「そんだけじゃねーよ‼」
いくら考えすぎだって払拭しようとしても、茜への不信感は拭えない。それくらい、アイツの千歳にたいする行動は不自然だ。
『分かった。そこまで言うんなら、オレにできる範囲で素性を調べてやる。ソイツの名は?』
茜の名前を告げると、『なんか分かったら知らせる』タカシはそう言って電話を切った。
千歳と連絡がつけばいいが、電話も家も知らない。
闇雲に街を探して、見つけられるとは思えない。
今ごろ無事に家にいることを祈るほかなかった。

