「悪ィタカシ、"これ"はオレの問題だ」
椿子が見たのは関係ない赤の他人かもしれない。
だが、もし本当に千歳だとすると、一緒に歩いていった男ってのは誰だ?
その男が拉致に噛んでるのか……!?
それとも拉致自体ただのハッタリか……!?
『バカヤロ。こっちはもうとっくに巻き込まれてんだよ』
足りない頭で色々悩んでいると、スマホの向こうでタカシに一蹴された。
奥歯を噛み締める。
『まァ話の流れで察しはつく。オンナ、人質にとられたの?』
さすがタカシ、椿子に負けず劣らず頭の回転がはやい。
「まだそうと決まったわけじゃねーが…………」
今夜、死國にケンカを売られたことや、今の状況をかいつまんで伝えた。
『"お前のオンナ預かってる"………………か。ハッタリじゃねーの?』
「だといいんだが」
『お前言ってたよな?その千歳って子、不良3人にケンカ売るくらい気が強いって。黙って拐われるタマじゃねーんだろ?』

