「……ッンのクソヤロー共がァァァ‼」
こめかみの血管がヒリヒリ痛んだ。
マグマのような怒りがフツフツ沸き上がる。
その半分は、この事態を招いた自分への怒りだ。
握りしめた手の中で、今にも壊れそうなスマホ。
もう一度、5分前の着歴に電話した。妹の椿子だ。
呼び出しのコールすらもどかしい。
『──モシモシ?』
「さっきの話もう一回聞かせろッ‼」
『…………え!?シュウどうし…』
「事情が変わったんだ!説明してる暇ねェ!お前が見たっていう"千歳に似た女"の話、もう一度ちゃんと思い出してくれッ‼本当に千歳だったかッ!?」
椿子が見たっていうのがもし本当に千歳なら、そのあとで拉致られたことか!?
その"一緒にいた男"ってのは誰だ!?
なんか関係あンのか……!?

