「いないってこと?」
『…………うん。…………今も、探してるけど…………』
椿子の声はまるで自分の責任のように沈んでる。椿子が気にすることはないのに。
「そっか、じゃやっぱ来なかったんだな。待たせるよりも良かった」
『う~ん……』
「気にするなよ。いいよもう探さなくて。千歳来なかったんだ。ていうより悪かったな、せっかくのデート台無しにしちまって。タカシにも謝……」
『いいよそんなの。それよりも』
椿子が話を遮った。
『…………言おうか迷ったけど、ちょっと気になることがあって……』
電話の向こうからは、不安そうな声と一緒にやかましい街の喧騒も聞こえてくる。
そうとう混雑してるみたいだ。
「何?」
『シュウに言われた場所で千歳さんを探していたらね、すぐにちらっと、"似たような女の子"を見かけたの…………』

