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ずっと閉じていた処置室の扉が開いたのは、その約1時間後た。出てきたのは白衣の医師。
オレは廊下のイスから立ち上がった。
「大丈夫だよ。今は薬で寝てるけど安心して。キミのおばあさん大丈夫だから」
「……!……良かっ……たァ……」
それを聞いて、ようやく身体から力が抜けた。思ったよりもずっと胸にジンと来るものがある。
「ところでオレ、あの人の孫じゃないんです。たまたま通りがかっただけで……」
「そうだったのか。……なのにずっとここで待ってたのかい?いやぁ、今どきなかなか奇特なことだ」
いつも人に煙たがれるから、こうして褒められるとなんだか身体がムズムズする。
「それよりもばぁちゃんどんな状況?家に帰れる?」
「それが………」

