見た目がもろ素行の悪い不良だから、こうやって人助けをしようとしても、たいてい誤解されて逃げられるのがいつものパターンだ。

だから精一杯明るく優しく話しかけた。

「別に怪しいモンじゃないよ?なんか9時からここ座ってるよね?どーかしたのかと思って」

「……」

それでもばあちゃんは無言。

はじめは財布でもなくして途方に暮れてるのかと思ったが、どうやらそうじゃないと気づく。

よく見ると顔色が真っ青だったから。

「………………ばぁちゃん?」

「……っ」

「もしかしてどっか具合悪いの?」

オレは膝を折って、前にしゃがみこんだ。

「……ッ…!」

「オレの声聞こえてる?」

「…………だ、だいじょ……ぶ…………ちょっと疲れちゃっただけだから……ね……」

やっと口を開いてくれたけど、今にも消えそうなか細い声だ、それを聞いてむしろ不安が広がる。