「そ、そんなことは……な、ない……けど……ォ……」
意表を突かれて焦る私。語尾がごにょごにょかすれて消えた。
「そりゃそうやな。相思相愛ならつき合うやろし。でも竜憧ってなんか面白ろいな?今日はじめて口利いたけど、ちょっと雰囲気が独特や。思ったとおり、他のやつとなんかちゃう」
茜先輩、意外に鋭い。
「なんか人に言われへん秘密抱えてたりして?なぁ千歳、そう思わん?なんか聞いてへん?」
あの一瞬で竜憧くんをそこまで見抜くなんて、すごい洞察力。先輩ってやっぱ年上だなぁ。
「…………そ、そうかなぁ?私はそう思わないけど……?」
でも感心してる暇はない。慌てて誤魔化したけど、我ながらぎこちない棒演技。
茜先輩の瞳が妖しく揺れた。
そしてこのとき気づいた。先輩の瞳が、左右でほんの少し色が違っていることに。
右の瞳は黒いけど、左の瞳は少しだけ茶色い。
"オットアイ"だ。
そうか、この奇妙なアンバランスさに惹きつけられるんだ。見つめられると、催眠にかかったようになる。
「まぁどの道、ああいうやつはやめといた方がええよ。オレにしとき?オレなら絶対にそんな悲しい顔させへんから」
また、先輩の顔が近づいてくる…………。

