「なんかはじめて見たときな、世界中の悩み背負っとるような顔しとったから。気になって」
すべてお見通しって表情になって、優しく語りかけてくれた。
「それは……っ」
「何か悩んでることでもあるん?オレで良かったら相談くらい乗るよ?」
「……っ」
「もしかして、さっき絡んできた竜憧ってやつが原因か?」
ハッとして顔をあげた。
「なんで……っ?……て言うかなんで竜憧くんの名前知ってるの?」
「みんな噂してるもん。目立つ髪しとるし。アイツこそ有名やん」
「そう……なんだ……」
「それによっぽどケンカ強いんやろなァ」
「なんで!?」
ケンカと聞いて、激しくドキッとした。
「これも噂で聞いたんやけど、3年で一番強い男がアイツを呼びだしたんやて。ほら生意気そうな1年シメようってな?よくある話や。でも、竜憧に睨まれただけで尻餅ついて、手ェも出せへんかったらしい」
「……!」
「まぁあくまで噂やけどな。それ以来誰も竜憧には何にもできんのやって。3年の間ではみーんなその噂しとる」

