「アァ!?」
田母神の声も荒くなった。教室の空気は強張ってゆくばかり。
庇ったつもりが庇われて、なんだか私も責任を感じてハラハラしてきた。
「クソ生意気な野郎だな」
「調子こいてんじゃねーぞ!」
「オレらの後ろにゃ"士斬(ジキル)"って族がついてんだからなッ!」
手下がそう叫んだとたん、さらに空気が重く張りつめたのが分かる。
このクラスで田母神が、大きな顔を出来る理由は、その族の存在があるからだ。
士斬はこの街の暴走族チーム。メンバーはかなり凶悪らしい。
なのに竜憧くんときたら、それを聞いても全く表情を変えない。
いやそれどころか、
「何ソレ?聞いたことないんだけど……?」
挑発してるのか、それとも本当に知らないのか、しれっとそう言って首を傾げた。
一方、田母神たちは一瞬怒りを忘れたように大爆笑。
「ハァアアーッ!?オイオイ知らないって、お前どこの田舎から転校して来たんだよ!?」
「コイツマジあり得ねー!」
「ザコ過ぎて相手すんのも恥ずかしいわッ!」

