軽いノリでそう促すと、先輩は屋上への階段を昇って行ってしまった。
「…えっ……!?」
逡巡してる間にも茜先輩はどんどん昇っていく。
でも黙って教室に戻るわけにもいかなくて、仕方なくその背中を追いかける。
しかし、屋上への扉はやはり施錠されていた。
「開いてませんね」
「つまらん……ふつうこういうときは開いとるもんやろ?学校の屋上でふたりっきりなんていうのは、出会って間もない男女が距離を縮めるのにちょうどいいシチュエーションやん?気ィきかんなァこの学校」
「………………ハイ?(距離を縮める?)」
茜先輩はそう言ったあと、ふーっ……と憂いを帯びた溜め息を吐いた。でも早口過ぎて、どこから突っ込んでいいのか分からない。
「しゃあない、ここ座ろか?」

