「千歳」
先輩の声にハッとした。
つい視線が下へ下へ落ちていた。慌てて顔をあげて、隣の先輩を見上げる。
「…………ッとごめんなさい!………………何でしたっけ?」
「話ぜんぜん聞いてなかったやろ?」
「……すみません」
「さっきのやつのこと考えとったん?」
「……っ」
「エライ辛そうな顔しとるけどアイツのことで何か困ってるん?」
「そういうわけじゃ」
「なぁ、ちょっとこっち行ってみよ?」
先輩が足を向けたのは屋上へと向かう階段だ。私がぼーっと歩いてるうちに、いつの間にか3階にまで来ていた。
「でも、屋上は鍵開いてないと思いますよ?それに…」
腕時計を見る。やっぱりあと3分で次の授業が始まる時間だ。
「まぁええやん。ちょっと行ってみようて」

