「さ………………3年?」
うぎゃあ!先輩だったの!?
勝手に同じ1年と決めつけてたことに焦る。
「す、すみません。……なんか……1年かと……思って」
「え?……ああええよ別に。オレドォガンやろ?」
「………………ドーガン?」
「ど、う、が、ん(童顔)!しょっちゅう下に見られる」
「……"先輩"だったんですね……」
優しく"ええよ"と言われても、なんか気まずい。
でも苦笑いを浮かべる私に先輩は破顔した。
「今さら敬語とかいらんよ。敬語で話されんの苦手や、使わんとんて」
「…………」
『本当なら今年3年になる』
『……じゃあ敬語使った方がいい…………ですか?』
『……いーよ今さら』
急に竜憧くんが過った。
きのう、彼に手を引っ張られて街を走ったこと。
ビルの隙間で息をひそめたこと。
公園の睡蓮が、とてもきれいだったこと…………。
胸が苦しくてつぶれると思った。
夢のような出来事を思い出すと、さっきぶつかったときの10倍くらい、鼻の奥がつーんとしてきた。

