*
保健室の鍵は開いていたものの誰もいない。
「失礼しまーす」
でもお構いなしに彼は中に入った。
「横になった方がええんちゃう?」
「(ええええっ!?)だいじょーぶっ‼」
「じゃせめて座って」
やっと手が離れた。
私は先生の机からコットンを見つけると、鼻を押さえた。まだ少し赤くなるけど、だいぶ止まってきた。
「冷した方がいいかな!?氷どっかにない!?あ、冷やしたらあかんのやっけ!?温める!?」
私よりも彼の方があたふたしている。
「もしかして、血が苦手?」
「……あ、少し」
どうりで顔色が悪いと思った。
「ありがとう。もう大丈夫だと思う」
「ならええけど」
そう言っても、彼はまだ私を心配そうにじっと見つめている。あの、すっごく恥ずかしいんだけどォ………………。

