「なぁ、ところでコレなんだ?」
ずっと気になっていた……って口調で、トウタが部屋の隅の段ボールを覗いた。
中から仔猫のたちの鳴き声が漏れている。
「せっかく寝てたのにお前らが騒ぐから起きちまった」
「また拾ったのか」
「今飼い主探してんだ。お前引き取らね?」
「食用か?」
「……お前に訊いたオレがバカだったよ」
「あー、猫ってそれか。"椿子"が言ってたな」
出来上がった料理を皿に盛り付け、タカシが会話に入ってきた。
台所からは香ばしい匂いが立っている。
秘密にしているが、タカシの彼女は妹の椿子だ。でもこれはオレとトウタくらいしか知らない。
雷怒のメンバーでさえ知らないだろう。
タカシは徹底して彼女(椿子)の存在を隠してる。
隠すことが守ること。それがタカシの信条だ。
「いつも思うけどお前いつ椿子に会ってんの?」
「いいだろ、別に」
なんだよ、人の話は根掘り葉掘り訊くクセに自分のことはだんまりかよ!
「まぁいいけど。……泣かせんなよ」

