「つまり?」
「つまり、孵化したヒナがはじめて見たモノを親だと思い込むようはモンだろ?」
「……」
要するに、たまたま隣の席だったから好きになっただけで、隣が千歳以外の子なら、その子を好きになってた……
そう言いたいんだろう。
そりゃあ彼女は欲しかったけど……。
「違う!絶対にそんなんじゃねーよ。どんな出会い方でも千歳ならきっと好きになってた。千歳だから好きになったんだオレは」
「あっそ。どうでもいいけど。(よくンナこと言えんな…)なら簡単に諦めんなよ」
「ッ」
「欲しいモン全部手に入れればいいだろ、どこに一個じゃなきゃダメだなんてルールあんだよ?つまんねーことに縛られんな」
そう言ってトウタは、吸い殻を突っ込んだ空き缶を握りつぶした。
とここで、フライパンを振っていたタカシが、「オイオイ」とこっちを振り向いて苦笑い。
「あんま焚き付けてコイツをストーカーにすんなよ?」

