「……それはッ………族が…………嫌いな女なんだよ……」
「……」
「……」
その一言でタカシとトウタは察したらしい。
「あーなるほどな。黙ってりゃいいのに」
タカシは簡単にそう言ったが、オレは頭を振る。そんなわけにはいかない。
「魔陀羅のこと隠してつき合えるわけねーよ」
すると今度はトウタが、
「"魔陀羅の総長のお前"を好きな女の中から適当に選べばいいだろ?総長の女になりたいヤツなら腐るほどいる。ヤり放題食い放題だ」
「……」
まるでレストランバイキングみたいな言い草。それはなんか違うだろう。
「あのさ、別に女の子なら誰でもいいワケじゃねーし、エッチがしたいわけでもねーの!お前じゃあるまいし!」
そうだ、オレは彼女が欲しいんじゃない。
"千歳が"欲しいんだ。
でも千歳は暴走族が嫌いだからオレを拒絶した。
いっそオレ自身を嫌いだって言われた方が100倍マシだった。1000倍楽だった。それなら諦めがついたかもしれない。

