TUG of WAR ~恋のつな引き~

「ごめん……。」



現れていた本能が再び理性によって隠される。

ここは学校だ。
相手は生徒だ。
俺は教師だ。

いくら彼女が卒業証書を貰ったからといって、ここで情事に及んでいいわけがない。



「いや……私こそごめんなさい……こういうの初めてだから怖くて……。」



そうだよ、彼女はまだ他人に未知の領域を許したことがない。

付き合っているからといって俺が容易く許されるわけではない。



「いいよ。焦った俺も悪かった。ゆっくりずつでいいから。」



俺は優佳の頭を優しく撫でて気持ちを落ち着かせた。

それから優佳は準備室から出て、俺は一人っきりになった。