TUG of WAR ～恋のつな引き～

そうだった。

あの時まさか優佳が好きだと言ってくれるとは思わなかった。

修学旅行での俺の行動は、男としても教師としても酷すぎると反省していた。

いくら優佳を俺のこと嫌いにさせたかったからって、あれは正直やりすぎだった。

なのに、優佳ときたらそれでも好きだと言ってくれた。

こんな心の広い人間と俺が釣り合うのかとすら思えてしまう。



「先生、あの時私の言葉受け入れてくれてありがとね。」



その言葉に、俺は考えるよりも先に行動していた。

優佳のことを両手でぎゅっと抱きしめる。



「俺の方こそ感謝しなきゃいけない。
たくさん優佳のこと傷つけても見放さないでいてくれてありがとう。」



嬉しすぎて涙が出そうになる。

俺らしくないぞ。



「あと、卒業おめでとう。」



やっと言えた、この言葉。