「ありがとうございます。

……でもドライブはやめます。
きっとドライブしてドキドキする思いを体験したら、それこそ奥さんに嫉妬してしまうので。
私、先生が既婚者でもいいって割り切ってるつもりだったけど、そこまで割り切れるほどの心の余裕がないことに気付きました。」



教師と生徒の関係のままでもいいから瀬名先生に近付きたい、話したいと思っていたけど、
本音は違かった。

先生とたくさん話せた後一人になった時に、虚無感に襲われていた。



少しでも女性として扱ってほしい。

抱きしめて、キスして、一言『好きだ』と言ってほしい。



いつの間に、手に入れたもの以上を欲するようになっていた。

だけど、どこかでその欲を断ち切らなければいけない。

きっとそれが今なのだ。



「そっか。……ってわたしがこんなこと言わせちゃってごめんね。こういうの、先生と二人きりで話したかったよね。」



奥さんは苦笑いながらそう口にする。