TUG of WAR ~恋のつな引き~




12月24日金曜日、
来るクリスマスイヴは残念ながら生物の授業がない日だと気付き、
いつの間に冬休み前先生に会えるチャンスがなくなっていたことが分かってしまった。

そして12月25日土曜日はクリスマス。

土曜日にもかかわらず私の高校は毎週授業があるため、
終業式も土曜日に行うことになっていた。


……なのに私は、寝坊してしまった。


もちろんクリスマスイヴの夜は家族と自宅で過ごしただけにもかかわらず、
よほど疲れていたのかアラームの音に気付かなかった。

今から行っても終業式は既に始まっているに違いない。

案の定、学校に着き急いで体育館に行くと、
終業式は既に始まっていてドアは閉められていた。



「入りにくい……。」



思わずドアの前でそう呟いてしまった。

恐る恐るドアを少し開けると、
まだ校長先生のお話しの最中だった。

これはもう教室に待機した方が楽かもしれない。

どうせ冬休みの生活指導や表彰だけだろうし、いっか。



「ちょっとそこどいて。」



教室に引き返そうとした矢先に、
誰かの小さな声が聞こえた。