TUG of WAR ~恋のつな引き~

「あ、まずい。」



いきなり先生の顔が真顔に戻った。

一体何が?



「間違って自宅の方の道入っちゃったから、ついでに荷物置いてきていい?冷凍の物あるし。」



なんだ、道間違えただけか。

もっと重大なことをやらかしたのかと思ったから一安心。



「いいですよ。会話に夢中になりすぎましたよね、私たち。」

「そうだな。お前がサンタいるとか言うからだって。」

「酷い!それ言ったら先生が中2までサンタ信じてたっていう面白い話しだしたからじゃないですか。」



だってあの話は本当にびっくりしたもん。

先生が道を間違えたことに気付いてからわずか数分で先生の自宅についた。

外見はなかなかおしゃれな一人暮らし向きのマンションで、
いかにも瀬名先生が選びそうだなと納得する。



「1階に小さいけどロビーみたいなところあるからそこに座って待ってて。」



てっきり先生の部屋のドアの前までは行けると思っていただけに少し残念だけど、仕方ない。

先生の後ろについて行こうかと思ったけど、
さすがに嫌われそうだからやめておくことにした。