「待てよおらぁ!」



酔っ払い集団が追いかけてくる。




「ひっ…」



私は怖くて思わず小さな悲鳴を上げた。





「こっち」




彼はさっきとは違って優しい声でそう言い近くの公園の草むらに身を潜めた。





「どこ行きやがった!」



「探しだせ!!」




酔っ払い集団は公園を通り過ぎ、やがて足音が聞こえなくなった。





「…行ったか」



「あ、あの…ありがとうございました」




私はまだ内心怖がりつつ、助けてくれた彼にお礼を言った。



この時、初めて彼と目線が交わった。




「ーーっ」




また、だ…



また心臓がうるさくーーー…




「…家まで送る」



視線を先に逸らしたのは彼で、私の手を離して立ち上がった。