暫く視線が交わっていた。




視線を外したのは江口くん。





目を細めて軽く私を睨んだ。







「…つか、お前誰だよ」





…あ、そこから…






まあ、あの時寝てましたもんね






「転校してきた柿原です…」




「ふーん」





ちょ、聞いといてふーんって何よ!




興味ないなら聞くなっての!





「じゃあな」





うん、あの彼と声が似てる。






やっぱり江口くんは…あの日の彼なの?






だとしたら、江口くんは私のことなんて忘れてる…よね








「柿原、ね…」




廊下を歩きながら江口くんが考え事していたなんて当然ながら私は知らない。