逃れられない「イト」

✡。:*柊語り























結局言えなかった。怖かった。水煙が少し赤が勝って気持ち悪い臭いがして、ずっとはその場にいられなかった。






































ちゃんと、この気持ちを伝えたい。



































どうしてこんなことをするのかを。




























きっと、僕になら教えてくれる。

















あの時。
おにーちゃんの声が少し強ばってた。
怖がっているのかな。
僕だよ、って言いたかったけど。































きっと僕達ってほんとの兄弟なのかもしれないなぁ・・・
















・・・・・・・・・・・・
✡。:*楓語り















あれは誰だったのだろう。風呂から出た後でも身震いする。風邪ではなく、怖さで。


「─────っくそ」


腹が立つ。こんな小さな出来事で、怖がる自分に腹が立ってくる。いつから、こんなに弱くなったんだろう。






































・・・・・・・・・・・・・・
















俺の弟、柊は本当の弟では無い。俺が小6の頃に公園で見つけた、友達とも呼べるような人だった。だが俺も身内は行方不明の叔父しかいなく、彼奴も身内がないというから、俺と一緒に親が残していったであろう館に住み始めたのだった。
1年が過ぎた頃、彼奴が「これ、なんてゆーの?」と聞いてきて、「柊だよ」と教えると。


「まるで僕と同じ・・・」


と物凄く笑顔で言われた為、名前を「柊」にした。































勘違いしないでもらいたいが、俺はホモじゃないぞ。























それから俺たちはずっと一緒に暮らしてきた。相談し合いながら、助け合いながら、ずっと。
けれど、俺は柊に隠し続けていたことがひとつあった。





















それが、あの惨劇の事だった。俺はストレスなどが溜まると、暴走したかのように周りのものを「破壊」していく癖がある。この館のメイドは今まで6人、俺のこの手で死んでいった。十分に楽しめた後は、こうして何かを達成したような感情に襲われ、何故か涙に明け暮れる。

















そんなことを、柊と出会う前も、出会ってからもしていた。





















「これが────────」




























運命なのか───────?























「はは・・・・・・」






































冗談じゃない・・・・・




























甘くて苦い、何かの薬で痺れたような感覚が、俺の中で弾けた。