「こんなに感情を揺さぶられたの、初めてだから。
きっとそれだけ私の想いが強いってことだから。
苦しくても弘也にいくことはできない。
こんなに助けてもらったのに、最低でごめんね」
弘也から離れて、立ち上がる。
もう涙は流さない。
弘也は甘えさせてくれるけど、それじゃ私が嫌なんだ。
「ははっ。分かってた。
でも、今日は家まで送らせて?」
「駅まででいいよ」
「家まで送る。
……最後に夢、見させてよ」
「じゃあ……お願い」
「頑張れよ」
弘也も立ち上がって大きな手で頭を撫でてくれた。
その優しい手に私は確かに救われたんだ。