こんなに人が多いのはめずらしいな。

何かあるのかな?


なんて考えながら電車から外の風景を眺める。

私が乗ったところから1駅過ぎれば、理央が乗ってくる。



「おはよう。
今日は立ってるんだね」


「おはよう。
うん、私のとこからすでに席なかった」



隣に理央が来てつり革を持つ。

そして少し話していると、違和感。


満員でぎゅーぎゅーだったけど、これは明らか……触ってる?


腰あたりに誰かの手が当たっていて、それはぐるぐる回るように動く。



6月に入ってから夏服に変わったから、服の上からでも手の感触がよく分かる。