「おい」

声をかけたのは、さっきの女の子だった。

「やだ、夏樹~。アタシのこと探しにきたの?」

彼の後ろに隠れている私を目ざとく見つけた女の子は、獲物をみつけた猛獣のようにギラっと目を光らせた。

「っれ~?さっきの人じゃん。
 さっきの、”お姉さん”じゃん」

そう言って、女の子がケラケラ笑いだした。

「あのさ。
 俺、お姉さんとか居ないから。
 この人、俺のカノジョだから」

「まじで~?!
 なんかちょっと、ウケるんだけど~
 ああ、あれか。今はやりの
 年下彼氏?
 それとも、年上彼女?
 ま、どっちでもいいけど~」