横断歩道で立ち止まる。
彼が、私の手を離した。
と、思ったら。
恋人つなぎ、をしてきた。

今日の夏樹君は、いつもと違う。
怖い。
怖いけど、離れられない。

信号が青になって、また歩きだす。
ビルの角を曲がって
細い路地を通って
大きな広場の前に出た。

「見つけた」

『え?何? 誰を?』

ゆっくりと、一歩ずつ、歩きだす。
私の手を、もう一度強く握りなおす。