「何、泣いてんの」

『え?』

頬に手を当てると
ホントだ。
涙が流れていた。

「逃げんなし」

『・・・・』

立ちあがろうとしてひじ当てに手を当てる。
彼がすかさず私の手をつかむ。

「もう、逃げないで」

彼の真っ直ぐな目が、
私だけを見ていた。
私は少し怖くなって
目をそらそうとした。けど
そらせなかった・・