「・・モットハヤク
 ウマレテクレバ ヨカッタ・・」

彼の声は、私に届く前に消えた。

彼は急に私を離し、「明日、休みでしょ?」と聞いてきた。

『あ、う、うん』
「俺も予備校休みだから、どっか行かない?」
『え?私と?』
「うん、小春さんと俺で」
『え・・と・・』

私は考えるフリを必死でしていた。
バレてないかな。
嬉しさ、溢れてないかな。
勘違いしちゃいそうだ。
だめだ だめだ
勘違いしちゃだめだ。
気を付けろ、私!