こんなに好きなのに




「答辞、卒業生代表、石内翔…」


卒業式、俺は翔君の答辞を聞いたら帰った。ほのちゃんと会ったらあかんと思ったから。


「…………」


ふらふら歩いてると…麻果さんがおった。


「あっ…」


気まずい。


「こんにちは。夕陽君。」


「こんにちは。」


「卒業式よかったわね。」


「はい。」


普通や……


「…夕陽君。穂香嫌い?」


「へ?」


「穂香が日本に残るっていった時、私たち家族の事を考えてくれたでしょ?」


「…………」


「自分の気持ちを抑えて…私たちの事を考えてくれてありがとう。」


「………いや…俺は…」


「でも、それじゃぁ夕陽君は幸せになれないよ?たまには自分の我が儘も通さないと…」


「…………」


「穂香が好きなら捕まえておくべきだよ…好きなら…自分の気持ちに素直にならないと…」


「…………でも、俺が言ったらほのちゃんは…おじさんが…」


「………本当に優しいね、夕陽君は。穂香が好きになったわけがわかるよ。…でも優しさは時に人を傷つけるんだよ。そんな優しさはいらないんだよ…って私が偉そうに言える事じゃないけどね…」


「…………」


「じゃぁね。バイバイ。」


「さよなら………」


俺の優しさがほのちゃんを傷つける?…………ほのちゃん。俺、間違ってた?