「どうして私なんだろ?」


「何が?」


「王子のからかう相手…どうして私なの?」


いつも思う。どうして私なの?って。綺麗な子や可愛い子は私の他にもたくさんいるんだもん。
なのにどうして私なの?


「それは…」


「ほのちゃんが可愛いからやで!しかもからかいちゃうしな。」


「!」


「出たな…ハエ」


「ハエって!失礼ちゃいますか?須藤さん。」


「ごめんなさいね?エロ王子さま」


「何がエロ王子やねん。ほのちゃん返してもらいますから。」


「わぁっ!」


ぐっと大路君に引っ張られて抱きしめられる。


「大路君!恥ずかしい」


「何言ってんねん!穂香は私のもんやっ!」


って聞いてない。
それに夕菜ちゃんが言い返して悪循環…。


「俺のもんです!かってに昼休みに連れ出さんといて下さい!」


「連れ出すってあんた、ちょっと私がおらん間にずいぶん穂香にちょっかいかけてくれてたみたいやんか!」


やばい!夕菜ちゃんが関西弁になってる。
本当に怒ってるよー!


「ちょっかいなんかかけてません!俺は毎日、愛を伝えてただけです!」


「えっ?!」


急に走り出した大路君。私を抱っこして。


「いやぁぁ!離してっ!恥ずかしいっ」


「エロ王子のあほぉっ!」


後ろからは夕菜ちゃんの怒鳴り声…でも私を助けてはくれないんだ。


「誰がエロ王子やねん。」


「そんな事いいからおろして!」


「嫌。俺をほっておいて昼飯食べてた罰やで。ほのちゃん。」


ほっておいてって…


「一緒に食べる約束なんてしてないじゃん!」


「昼休みに行くって言うたやん!」


「でもだからって!」


「それ以上言ったら…このまま三年の教室の前走ろうかなぁ〜」


っ!卑怯だよっ!



「よし!じゃぁ昼飯食べに行くでっ!」


と言って…私をおろして手を繋ぐ大路君。
本当にマイペースで自己中だから困る。