指先の絵空事


「…は?え?!なんで!?」

彼は体ごとこちらを向いた。

「…俺、なにかした…?」

心なしか彼の目は潤んでいるようにも見えた。

「違う…蒼緒はなにも悪くない…!!」

楽器の音などもう耳に入っていなかった。

違う、蒼緒は何も悪くないのだ。
悪いのは…

「悪いのは全部私なの」

そう、全部私なんだ。

あの子の顔が、脳裏から離れない。
私が傷つけてしまったあの子の顔が。



「ごめん…ね」

ごめんね蒼緒―…、

ごめんね茜…


目の奥からじわじわと熱いものがこみ上げてきて、

溢れ出して止まらない。