「オトコと繁華街から出て来ただろうが!」


 容赦の無いがなり声を聞いているうちに頭痛までしてきて、思わずこめかみを指で押さえる。


「……クラスメイトなんだけど……」


 それは嘘では無い。

 昨日、学校の仲良しな顔触れで繁華街にあるゲームセンターを訪れ、その帰りに偶然帰る方向が同じだった友人と歩いていただけだ。隠さなければならない事など何一つとして無い。

 彼――カズヤは出逢った当初から思い込みが激しい所はあった。だから終わりが来るのだとすれば、決して良いものにはならないであろう事も簡単に予測は付いた。

 だってわたしは“いつも”決して自分からは別れを口にしない。した事が無い。


「クラスメイト?あんなに距離近くてかよ?」


 カズヤが鼻でせせら笑う。


「うん、そう。あんなに近くてだよ」

「、悪びれもせずに!」

「だって悪い事なんてしてないもん」


 わたしはただいつも通りの日常を過ごしていただけで、彼が言うような何かはしていない。だから平然としてしまえるのも当然の事だろう。

 しかしやはりわたしのその反応すら気に食わないようで、カズヤは小馬鹿にしたように目を細めた。厭らしい表情だ。

 昨日まで「好きだ」と囁いていた彼は一体何処へ行ってしまったのか。

 人間というのは少しのきっかけで掌を返したようになってしまえる程薄情なものらしい。それは別に昨日今日気付いた真実ではないけれど。