「なあ…突然なんだが、俺はお前が好きだ」



先輩に抱き締められたまま、私はその言葉を聞いていた。そして、内容を理解したと同時に、はっと顔を上げた。



すると、私と同じように顔を真っ赤にした先輩が、私をじっと願うような、祈るような眼差しで見ていた。



(ってことは…私と先輩は…り、両思いだったってこと!?)



またも慌てふためく脳内に戸惑っていると、



「…ダメ、か?」



先輩のそんな悲しそうな声が聞こえてきたものだから咄嗟に、



「ダメじゃないですっ!!む、むしろ私も好きです!!段三郎先輩のことが!!」



告白で、返してしまった。



刹那、静寂が訪れたかと思えば、先輩は今まで見せたことのない明るく眩しい笑顔で微笑んだ。



「よかった…!」



子供っぽく笑いながら、照れ隠しなのか私の頭をわしゃわしゃと撫で続ける先輩。



恥ずかしくて、抱きつかれた拍子に先輩の背中に回してしまった腕がきつく先輩のジャージを掴んでいる。



というか、先輩が頭を撫ですぎるあまり、私の思考が正常に働いていない気がする。



あっ…だめ…!だめです…先輩っ…




そんなになでなでされたら…私…私…!