屋上に上がると、外はすっかり夕暮れの橙色に包まれていた。



「…お」



扉を開ける音で気づいたのか、先輩がこっちに向かってくる。



「遅かったな、何かあったのか?」



黒い髪が夕日に照らされて、きらきらと輝いている。



(綺麗だなあ…)



そう思いながら先輩の顔を見つめていると、



「どうした?そんなにぼうっとして。気分でも悪いのか?」



先輩が屈んで私を覗き込むように見てきた。



「ひぇええっ!?い、いえ、その…」



あわあわと対応に困っていると、先輩がふっと笑った。



「ははっ、お前のそういうところ、本当にかわいいな」



先輩はそう言って、私の体を抱き寄せたかと思うと、その大きな手で頭を優しく撫でてきた。



え…?



私、先輩に…



頭を、なでなで、されてる?



ドキドキして、もう何が何だか分からなくて、顔がどんどん火照ってきてしまった。