「___もうすぐ彼の命日なんです」




いつものように少し話してからポツリとつぶやく



カウンターごしに榊さんを見ると、いつものように、客が使ったと思われるグラスを静かに拭いている





「うん…」



榊さんは、『彼』というのが誰なのか、きっとわかっているだろう




ずーっと一緒に来ていた男の子がフッと来なくなり、それからやつれてしまった私を見たら___