サッカーばか






「けいたは…………死にました。」



また、私の頭は真っ白になった。

でも、その人の言葉だけは、きちんと耳に入ってきた


「あいつ、ばかなんですよ。
ゆきさんの話しかしなくて。

………ゆきさんの心配ばっかりして。
体が弱いんですね。けいたが言ってました。」

彼は微笑んだ

「あいつが打たれた時も、ゆきさんの心配して……
戦争が終わったら、この崖に行けって。
だから、俺、必死に戦いました。死んでたまるかって。」

彼の顔からは笑顔が消え、涙がたまっていた。


「ゆきさんの事、一目でわかりました。
けいた、ゆきはこの花そっくりな人だ。ってよく言ってましたから。


そう言って私の隣にある花を指差した。

「きれいで、色白で、か弱いけど、自分を持っているから、この花みたいに、細いけど立派に立っていってる。

ゆきは絶対生きてる。」

しばらくたって


「って、自分に言い聞かせてました」


そう言った言葉と同時に、私は声をあげて泣き出した。

泣いても泣いても、涙はきえなかった


「……っヒック……あ、あたしが生きてても……けんがいなきゃ……いみないっ」

そう花に八つ当たりしたら、優しい風邪がふわっと吹いた。