二人の後ろを歩く。私がいつも通っている道ではなく、二人のルートに従って付いて行った。


「宮野も家こっちだったんだ。」


「うん。びっくりだよね。」


「今まで知らなかったのが不思議だな。」


「ね、いい感じにすれ違ったというか〜。」


「お前が昨日休んだおかげだよ。」


「おっ?感謝しちゃう?俺に!」


「うるせぇ。」


「ははっ。ありがとーございま〜すっ。」


初めは緊張したけど二人が話してくれたから、自然と笑顔になってた。一人で帰るよりも、ずっと楽しい。


「宮野にいいこと教えてやろうか?」


「ん?いいこと?」


「おい、何言おうとしてんだ。」


常に落ち着いてる佐倉くんが、珍しく慌てた様子で聞くから驚いたけど、田辺くんは慣れているのか、普通に話を続けた。


「こいつよくお前の話するんだぜ。」


「えっ…?」


待って待って、それってどういうこと?


「お前いい加減にしろよ。」


「いいじゃん。宮野も嬉しそうだぞ。」


「別に嬉しくなんかない!いや…嬉しくないというか…てか、何でそれがいいことなの!」


嬉しいに決まってる…でも、恥ずかしくて否定しちゃった。話を止めることを諦めたのか、佐倉くんは前を向いて歩いてて表情が確かめられない。


「ムキになんなって!冗談だよ。」


「…」


「俺らここ曲がるから。」


「あっ…うん、また明日ね。」


二人の後ろ姿に小さく手を振る。


言って良い冗談と悪い冗談があると思うよ。
ねぇ、さっきの話は結局どっち?
こんなことで一喜一憂して、馬鹿みたい。