だってそうでしょう。これじゃあ私、瑛主くんにだけ料理を作ったことになる。これじゃあまるで私が瑛主くんだけ特別扱いしているみたいになる。で、瑛主くんもそれに気づいたみたいになっちゃってるっていう……なにこの図式!
 どうでもいいふうを装って、私は使いおわった食器を重ね、瑛主くんの向かいの席から逃れるように席を立った。キッチンではサワダ(仮)さんがビシソワーズの残りを見つけだし、鍋ごと口をつけて飲み干したところだった。