翌朝のテーブルに並んだのはパンと私の手料理二品、それとオレンジ。ただ帰りを待つのも芸がないと思って、使いきれるだけの食材を調達して昨夜瑛主くんが帰ってくるまえにキッシュとビシソワーズを作っておいた。
休日の朝だし、和食をしっかり取るのもよかったけれど、もしかしたらまた草野球かもしれないし、という読みは当たっていた。食べたらすぐに出かけるのだという。
「昨夜、冷蔵庫開けてびっくりしたよ。料理するんだ?」
瑛主くんの私を見る目が変わるのが快感になりつつある。
「クッキングサイト見ながらだけどね。ミキサーとか手頃なオーブン皿が棚にあったのを思い出して、少し」
実を言うと、作るのよりも帰ってくるまでに洗い物まで済ませてきっちり拭いて棚に戻して、という痕跡をすべて隠すのに必死だった。
うまい、と最初にひとこと言ったあと、瑛主くんは黙々と食べていたのだけれど、あるときふと手を休めて意味深な発言をした。
「参ったな。昨日、部屋で待ってた姫里を見たときも思ったんだけど、こういうのって癖になりそう」
伏し目がちに笑っていたのがこちらを向いて、ばっちり目が合った。
姫里は、と言い掛けたその口が続きを言うことは叶わなかった。来客を告げるチャイムが鳴り、応対した瑛主くんが招き入れたのはまさかのサワダ(仮)さん!
「ういっすー、姫ちゃん昨日はお疲れ!」


