「さて、布団でも敷くか」
すっくと立ち、瑛主くんは奥の部屋に消える。
「はっ? え、だってソファで寝るからって……あ」
布団と言われ、雨に降られて泊めてもらったときのことを思い出した。私、リビングに布団出してもらって寝てた! 寝具一式、あった!
「このまえのとき、布団敷いただろ。なんで気づかないかな」
布団をひと抱えして戻ってきた瑛主くんのそばに寄り、敷くのを手伝ったあとは特にやることもなかった。スマホは充電させてもらっているし、エアコンのタイマーも切れるように設定済みで、部屋の明かりも常夜灯に切り替えてある。
時刻はもうすぐ零時になろうとしていた。
寝室に引きあげた瑛主くんにドアの側まで寄って声をかける。どうした、と部屋のなかから聞かれ、黙っているとドアが開いた。そちらの部屋は照明がすべて消されていて真っ暗だ。
「そっちに行っても、いい?」
ドアに手をかけたままの瑛主くんが薄闇のなかで息を飲む。


