エースとprincess

 ところが瑛主くんの考えた予防線は私の想像とは別物だった。もう一度と言わず二度三度バッティング対決をして、三度目には瑛主くんのほうが負けてしまった。昔とった杵柄だと言って鼻息を荒くするサワダ(仮)さんに、瑛主くんは自分の所属している草野球チームへの加入を勧め、彼のほうも快諾したのだそうだ。

「口だけじゃないんだよ。目が慣れるのに時間がかかったようだけど、昔やってたっていうのは本当っぽかった。それに海外生活が長かったんじゃ、日本での人づきあいが薄くなってるんじゃないかと思って。それで誘ってみた」

 サワダ(仮)さんの話をおとぎ話くらいにしか思っていなかった私は、ここにきて初めて申し訳なさを感じたし、それ以上に瑛主くんの洞察力に感服した。

「俺たちくらいの年代にさしかかると、所帯持ってるヤツもいるし、社会的地位や格差も出てきたりで、連絡取りづらくなることがままあるよな。結構簡単に疎遠になる。だから自分から動かないとって思うし、そうしたいと思っている人には協力もしたい」

 合コン、だったはずだ。もともとは私が巻き込まれたやっかいごとだったはず。
 なのにどうしてこの人は、人のことでこんなに親身になっているんだろう。


「そんなことより姫里が無事でよかった」

 そう言われて、私はお礼をちゃんと言っていなかったことに気づいて慌てた。言ったら言ったで、別にいいよとさらりと流されて、変な感じがした。まえにここに来たときのノリでいくと、冗談でも見返りを要求してきそうなのに。
 じっと見つめてくる瑛主くんを負けじと見つめかえすと、瑛主くんのほうがすっと視線を外した。ほら、今のもそう。迫るマネでもして私をどぎまぎさせるんじゃなく……?
 私、避けられるようなこと、しただろうか。