「週末の合コン。明日が休みだからって羽目を外すヤツがいて、案の定ひとりかっさらわれそうになって、柄にもなく取りかえしにいって」
取りかえすという言葉のチョイスにどきりとする。
「アラサーのくせしてガキみたいに女の子賭けて勝負して」
目が合った。瑛主くんは小さく笑った。
「そいつに勝って」
ソファの背に置かれていた手が私のほうに伸びてくる。頬にかかっていた髪を払ってくれた。それだけだった。自分の膝で頬杖をつくように両手を組み、軽く前屈みになった。
「女の子は安全な場所へ。でもってさっきの男とは賭けなしで再戦」
えっ、と私は自分の耳を疑った。寝そべっている場合じゃない。起き上がり、瑛主くんの顔を覗きこんだ。
「再戦、したの」
「ああ」
「あの人と」
「そう」
「なんのために」
「おもしろかったからってのが半分、あとは相手の戦意を削ぐのが半分かな。姫里もあいつからちょくちょく呼び出しがあったら面倒だろ」
瑛主くんは振り向いて白い歯をのぞかせて笑った。
過保護にも聞こえるけれど、妥当な予防線だった。私は席の近い人たちと連絡先を交換していた。どうせこの場限りだしとそのときは思っていた。
瑛主くんの言うとおりだ。サワダ(仮)さんの強引さなら今後も誘いがあるかもしれない。


