「正気、保ってる?」
トイレから戻る途中、席を立った瑛主くんと通路で鉢合わせになった。
「愚問を。まあ、ここのところ飲み会続きだし、控えめにしてるよ」
「ならいいんだけどさ」
そこで一瞬、変な間があった。心配性だなあ、と笑って通りすぎようとしたら、行く手を阻まれた。
「もし変なのに絡まれたら、俺を巻き込むこと」
「え」
「少しでも『どうしよう』って思ったなら、躊躇わずに俺に声をかけて」
黙っていると、返事は? と問いただされる。
「や、そんな危険な雰囲気、ないよ? みんないい人そうだし、おもしろいし」
「ふーん。ああいうのがおもしろいのか」
瑛主くん、わかりやすくおもしろくなさそうな顔になっている。こういうのは珍しかった。
「やっぱり、止めとくんだったな」


