「三文判でいいのでハンコください。押す場所は黄緑の付箋のとこです」

「いっそこのハンコ、姫里に預けようか」

「いいですよ。私が私用でばんばん押しちゃってもいいのなら。借用書とか借用書とか」

「そうきたか」

 怖えーよな、とコピー機の紙詰まりを直していた郡司さんが笑っている。

「俺もおんなじこと言ったらおんなじこと言われた。姫ちゃんなら本当にやりかねない」

 郡司さんはまえに私と組んで仕事をしていたので、私の要領をよく心得ている。

「けど谷口よ、おまえもうちょっと円滑に処理してやれよ。姫ちゃんはおまえが手際よく仕事ができるように、いろいろと前もって準備してくれているんだから」