私は最後まで聞かなかった。遮ってやった。

「お説教なんか聞くつもりない。はっきりいって不快。不愉快。私があんたの心配するのであって、なんであんたに私の心配をされなきゃなんないの。もう、帰る!! もう来てあげない!! バイバイ!!」

 口だけじゃない、頭のなか、ぐるぐるぐるぐるナオへの悪態が沸いては巡り沸いては巡り、座っていることなどとうにできなくなっていて、バッグをひっつかんで玄関へ。

「待て」

 そんな私の背中に声が掛けられ、なにかと思ったら、
「これは俺がこのあとおまえに走るっていうフラグじゃねえからな。それだけはどうしても言っておきたい。よし、行っていいぞ」

 ――ありえないでしょ。