「そうか。私、いろいろとやらかしていたのね」
「酒って怖えー。いい機会だからおまえ、俺んち来て飲むのやめれば?」
「お酒が怖いんじゃないよ。あの日は日本酒も飲んでたから。飲みかたの問題」
「成人してから何年になると思ってんだよ。未だに酒で失敗するとか、ありえねえ」
「うるさいな。そのときそのときで外ではいろいろあるの」
この話はこれでおしまい、とばかりに空き缶とゴミを片づける。トイレまで借りて出てきたところで、
「おまえはひいき目なしで見て、まあまあきれいめの部類にはいると思う」
と、ナオが妙なことを言いだした。
いや、自分の容姿への誉め言葉を妙と言い切っちゃうのもおかしいか。
でもわかるんだよ、このあと、逆説的展開が待っているって。
「だけど」
ほらね。
「男のいねえ期間がずっと続いてる。理由のひとつは俺だと思う。学生時代が続いてるような気分でいるだろ? 安易に安らぎを手に入れているから、男で満たされたいって思わなくなってる。俺は自分が二次元で満たされていて三次元の女に興味がねえから、自分のことのようによくわかるんだよ」
声がかすれて咳こんだナオは、一回ミネラルウォーターを口にする。
「おまえはいつまでもそんなんでいいわけ? 手に入るかもしれねえもんがあるのなら、一回求めてみれば? 俺んとこにくつろぎに来るのは、それからだって遅くはねえだろ。ガツガツ迫る肉食獣みたいな男なんてそこんじょそこらにいねえんだから、いたとしてもおまえの前にはこれまで現れなかったんだから、これと思った相手には欲しいって言って、おまえのほうから攻めていかねえと。そうでもしなきゃ永遠に彼氏なんてできねえ……」
「なんなの突然」


