「はい、お土産。えびせんべい京風だし醤油味だよ」
「なんかうまそう」
寄るつもりだったお店になにかの理由で行きそびれてしまうと、近いうちに必ず行ってやろうと思う。そんなノリで日を改め、ナオの部屋を訪ねた。
ナオは食事中だった。にぎり寿司をもくもくと食べ、容器を空にしてからペットボトルの緑茶で喉を潤すと、私の持ってきたお菓子を開封してつまみはじめた。
そのころには私は定位置に座り、リモコンでこれと選んだバラエティー番組にのめり込み、笑い声をあげていた。なりふり構わず笑いに走って笑いを取れるイケメン俳優は無敵だ。無敵生物!
「そんな悪そうなヤツには見えなかった」
「誰の話ー?」
「このまえお前が連れてきた男。強面の、きりりとした……なんつーか、銀幕のスターみたいな面構えの」
ナオのほうから話題を持ちかけるなんて珍しかったし、その銀幕のスターという単語のチョイスが絶妙すぎて、私はテレビそっちのけになり、すぐに話に食いついた。
「なになに、ナオの目には瑛主くんが銀幕のスターに映った、と? 言われてみれば昭和っぽい! ウケる!! どーして今まで気づかなかったんだ!!」
「え、えいすくん? すげえ名前」
「ああそっか。私たちは普段からそばにいて、しかも顔が怖い系統だから無難に接するほうに無意識に舵をとるけど、ナオは関係者じゃないもんねえ。ストレートに言えるよね。にしても『銀幕のスター』は言い得て妙だね。さすがだね。漫画描いている人は言うことにキレがあるね」
仕事が締め切りを終えて一段落しているそうで、ナオは私の話し相手になってくれている。瑛主くんの本名が谷口瑛主であることや社内での様子、私からみた人となりを伝えると、ナオは首をかしげた。そして、私をじいいっと見た。
「ひとつ、聞いていい」
「どうぞ」
「姫はあいつに惚れてねえの?」
「惚れる? 好きかどうか、ってことだよね。彼氏にしたいとかそういう」
ナオから目を逸らし、しばらく考える。


