「勘弁してよ」
思いがけない思考に噴きだしてしまった。
「兄弟じゃないよ。中学からの同級生。悪友と言ったほうがわかりやすいかなあ」
一瞬の間があった。瑛主くんがなにかつぶやいた。こんなふうに聞き取れた。『勘弁してよはこっちのセリフ』
「えっ、なに?」
「飲み過ぎはよくないって言ったんだよ」
と唐突に言うと、瑛主くんはタクシーの後部座席に私を押し込んだ。
「タクシーならひとりでも帰れるな?」
「帰れるけど。どうしたの急に」
「もっと話したかったから送るつもりだったけど、やめておく。じゃあまた明日」
なにが彼をそうさせているのか知らないけれど、これでお開きにしたいのなら従うより他はない。
私を乗せたタクシーは平日の夜の道をすいすいと走った。
ナオにあげるはずだったコンビニのお菓子袋を持ったままだと気づいたのは、車窓からの景色が見知ったものになってからだった。半透明の袋越しに透ける文字におやっとなってよく見ると、京風だし醤油味と書いてあった。おまけにこれ、ポテトじゃなくえびせんべいだ。見た目の写真、全然違うし! どうしてこうなった!?
飲み過ぎはよくない——別れ際に言われたひとことが嫌でも脳裏をよぎったのだった。


